このブログは、これから小説を書き始めようという方や、小説を書き始めたけどなかなか上手くいってる実感がないなぁ……という人向けに情報提供を行なっています。
以前、上の記事で、小説を書く上で最初にぶち当たるのは羞恥心との戦いだと言ったのですが、それを乗り越えた先にあるメリットについて、小説を書くべき理由として改めてお伝えしたいと思います。
小説を書き始めることで、あなたはこれらのメリットを享受することができるので、ぜひ一歩踏み出してみて下さいな。
目次
理由1: 考えたことをまとめる力がつく
人間が何かを学習する時には、インプット→情報の処理→アウトプットの過程を経ています。何らかの情報を知り、その情報を既存の情報とリンクさせ、自分の言葉で語っているのです。
このアウトプットのフェーズに相当するのが小説を書くことです。
インプットや情報処理のフェーズはこれまでの人生全てが該当します。人生経験が豊かだとそれが小説にも表れるというのは、アウトプットのベースになるのが人生経験だからです。
自分の中にあるものをアウトプットするには、考えをまとめる必要がありますよね。思いついたからといって単純に言葉を羅列しては、まともに読めない文章になってしまいますし。
- 考え、まとめる、いい。
- あなた、小説、書く、いい。
- オレサマ、オマエ、マルカジリ。
みたいに。単純に思いついたことだけでなく、相手にどんなメッセージを受け取って欲しいのか、その方向性を考えた上で伝える言葉を選ぶのが大切。
小説を書くことでその力を養うことができます。
理由2: 文章の受け手がどう感じるか、想像できる
まとめる力とも関連する部分ですが、相手にどんなメッセージを受け取って欲しいのかを想像する力が養われます。
当たり前のような話ですが、どんな文章にもその受け手がいます。出版した小説であれば、その本を買って読んでくれる人が文章の受け手になりますし、Webで公開した小説なら、そこにアクセスして読んでくれる人が文章の受け手になります。
日記のような公開しない文章でさえ、自分という受け手が存在します。
小説を書くようになると、「この文章を読んだ相手に、こちらの言いたいことが伝わるだろうか」という視点が自然と出てきます。
仕事でもメールなり報告書、企画書なりでこの考えを持っているかと思いますが、小説の場合は明確に私たち著者が話の流れを作らないといけない分、よりシビアに考えるようになります。
仕事の場合は直接話すなり電話するなりで補足のコミュニケーションが取りやすいです。しかし、小説の場合は即応性の高いコミュニケーションは難しいのです。
すぐに受け手の反応を貰えない分、より慎重に、相手に伝わるかどうかを考える必要があります。
理由3: 自分の文章に対する批判に慣れる
小説を書いて公開する時に、一番気になる部分がここではないでしょうか。
書いた文章に対する批判です。
小説を書く時に壁となる羞恥心ですが、それと同時に批判に対する恐怖もあると思います。
この恐怖心を完全に取り去ることは多分難しいですが、何作か書いていくうちに慣れていきます。
批判自体にちょっと凹むことはあっても、そこには小説を良くするヒントがあることが多いですから、それを真摯に受け止める姿勢も養われます。
かつて私が小説を書き始めた頃、「小説を書くあなたは、これから100万通の手紙を受け取る。最初に1万通の批判の手紙を受け取り、その後99万通のファンレターを受け取ることになる」という言葉を見かけて、批判から学ぶ姿勢を知りました。(どのWebサイトに書いてあったか覚えてる人いますかね? かなり前のことなので、私忘れちゃって……)
批判となると厳しい言葉が並ぶことも多いので、なかなか感謝するのも難しいかもしれません。ですが、批判するということは、あなたの小説を読んでくれているってことですから、そこには感謝していいと思います。中身なく罵倒してる部分は切り捨てて、改善できそうなエッセンスを抜き出す力も付きます。結構大事。
冷静に考えて、日常生活で「あなたの文章、変ですよ」と指摘されることなんて、そうそうないですからね。社会人だと、何も言わずにそっと評価を下げているから恐ろしいのです。
自分の文章を改善するチャンスを増やせる、と考えれば文章に対する批判を受けるのは悪いことではありません。
理由4: 語彙が増える
これはとても素敵な点。アウトプットの過程で様々な表現を知ることができ、その表現のための言葉を身に付けることができます。
小説を書いていると、同じ単語が繰り返されるのを見て、少し表現を変えたくなるんですよね。そこで類語辞典を使って、同じような意味の言葉を引いて、それを使ってみて……とやっていると自然と語彙が増えていきます。
語彙が増えれば、表現できることの幅が広がりますから、日常生活の会話でも活かすことができます。
ただ気を付けるべきなのは、あなたが知っている単語でも受け手が知っているとは限らない点です。
会話で「そのオピニオンにアグリー。ステークホルダーとコミットして、ミーティングをアレンジして。アジェンダについてはASAPでチーム内にシェアして」なんて言われても、受け手は「は?」となること請け合い。上司がこんな感じだったので、意識高い系の言葉に囲まれて私は生活してたんだなぁとしみじみと思い出しました。
一応訳しておくと、「その意見に同意します。お客様の責任者と合意した上で会議を設定してください。会議の議題については可能な限り早く、チームのメンバーに共有してくださいね」かな。
言葉を覚えた時にやってしまいがちなのが、相手に伝わるかどうかを考えずに使ってしまうこと。人間の学習パターンとして、覚えた言葉を積極的に使おうとする傾向がありますが、素直にこの傾向に従うと、相手に伝わらない文章を生み出してしまう危険性があります。
これを防ぐには、やはり受け手を意識することが大切です。
ターゲットを意識した小説を書くようになると、この言葉は読者にも違和感なく伝わったみたい、こっちは言い換えた方がいいかな、なんてバランス感覚も養うことができます。
理由5: 小説を読む時の楽しみ方が増える
自分が小説を書くようになると、他の著者がどういう意図を持ってこの小説を書いたんだろうか、という視点が生まれます。
単純に物語を楽しむことに加えて、著者の考えをトレースする楽しみもあるのです。
この表現は受け手にこういう感情を抱いて欲しいんだな、とか、ここで一気に緊張を緩和させて盛り上がりを感じて欲しいんだ、とか。
勉強にもなるし、著者が苦悩した様子も浮かび上がるしで、他の人の小説を読むのが楽しくなります。
そうすると勉強になったことを自分でもやってみよう、というモチベーションにも繋がります。
あぁ、なんと素晴らしいことでしょう。
終わりに
これから小説を書こうかな、どうしようかな、と迷っているあなたに、小説を書いた方がいい5つの理由をお伝えしました。
これらのメリットは小説のみならず、仕事でなんらかの文章を書く時にも活かせるものなので、ぜひ一歩踏み出してみてください。
ちょっと慣れてきたら、小説のテーマやプロットにも意識を向けると、さらにレベルアップできます。