お話の設計図・プロットを作って小説を書いてみよう

プロットを作ろう

今回は初心者向けな話題。

何作か小説を書いてみた人は、「プロットってなんぞ?」という人も少ないことでしょう。

実は以前、噂話にもプロットはあるよーという話題を扱ったのですが、プロットとは一体何か、という点に触れていなかったのでここで紹介します。

怖い話や噂のような短い話にもプロットが存在している!
学校の怖い噂とかって、広まるのが早いですよね。しかも広まるうちに内容が変化していくことも。これを詳しく見てみると、こうした短い話にもプロットがあったんです。同じプロットでも、話の盛り方によって別の話になってしまう点は、小説を書く上でのトレーニングのヒントとなります。

プロットとはお話の設計図のようなもので、これに沿ってお話を作っていくと、破綻が少ない小説になりやすいです。

破綻とは、例えば物語前半では敵討ちをしようとしていた登場人物が、何の説明も無くストーリーの都合で敵と和解していた、などのほころび・矛盾のこと。破綻があると、読んでいて混乱しちゃうので、読者に優しくありません。

勢いで小説を書いていると、いつの間にか話の流れで登場人物の行動がおかしくなったりしがちなので、設計図を用意しておけばそれを防ぐことができます。

ここでは、プロットとは何か、作るメリット、そして作り方の一例としてあるメソッドを紹介しています。

プロットを作るメリット

全体像をつかめる

プロットは設計図である、ということは、全体を俯瞰的に見渡せるということです。

小説を書き進めながら次の展開を考えるのではなく、詳細なお話を作る前に設計図を作っておけば、どこにどんなエピソードを入れるのか決めることができます。

プログラマ的に言えば、プロットは設計書と同じようなもの。どんな仕様があって、それを満たすためにどんな機能を作って、他のどの機能と連携させるのか、データの流れはどうなっているのか、といった全体の動き、振る舞いをコードを読み解くことなく把握することができます。

設計書を作らずにプロジェクトを進めるなんて炎上させてデスマしたいと言っているのと同じです。小説で言えばお話を破綻させたいと言っているのと似たようなもんです。全体を把握しないで書き進めているのですから、手がかりのない暗闇の中を懐中電灯一本で歩くようなもの。怖や怖や。

整合性を取りやすい

全体を掴めば整合性を取るのも簡単です。プロットがなければ、全体の整合性を取るために、小説の全文を読まなければなりません。これはしんどい。

全文を読んで、一部分を直して、また全体の整合性を確認して……これでたくさんの時間が吹き飛んでいきます。社会人の小説書きには辛い状態です。

プロットにはお話の全容が書かれているのですから、その段階で整合性チェックをしておけば本文を書き始める前に多くの作業を省力化できることに。

整合性を取りやすい段階で、全体を整えておくのは大事なのです。

他の人との共有のために

もし何らかの文学賞に応募する場合や、他の人と共同作業で小説を書く場合は、プロット(梗概という呼び方が多いです)を渡すことが多いです。

特に文学賞の場合はたくさんの応募がありますから、審査員の方々も応募者全員の小説全文を読むのは大変。そこで、梗概の時点で興味を惹かれるものだけ読んでいくことが多いようです。

お話の設計図をベースに本文が書かれていくので、この時点で全体の流れが破綻していたり、面白くないなーと思われてしまったら、小説本文だって同様である可能性が高く、結果として読まれない作品になってしまいます。

共同で書く場合は、執筆者全員が物語に対して共通した認識をもつ必要があるため、その共有のためにプロットが使われます。アイディアを出し合える会議であれば、これを叩き台としてアイディアを補強・集約していくことができます。

後で見たときに流れを掴める

小説を毎日書くことができれば、書くべき内容も頭に入れたまま最後まで書けるかもしれません。

理想的にはそうであっても、毎日小説を書くのってなかなか難しいですよね。特に仕事が終わった後に小説を書いていると疲れて頭を使うのも辛いですし、内容を思い出すのだって負担になります。

時間が経つにつれて、当初書こうとした内容もだんだんと薄れてしまって……結局書ききらないまま筆を置いてしまうなんてことも。

そうしたときにも、全体の流れを書いておいたプロットがあれば、それを見返しながら小説を書き進められますから、記憶に頼らずに済みます。

やはり頭の中にあるだけだと、忘れてしまうんですよね。人間だもの。

どんな話だったかの設計図を紙やPCのメモ帳にアウトプットしておけば、後から参照できるのがメリットです。

プロットは因果関係

さてさて、プロットのメリットを述べてきましたが、そもそも何が書かれているの? というお話もしないといけません。

多くの場合、プロットには因果関係が書かれています。因果関係とは原因と結果の関係です。

何らかの原因があって、こういう結果が生まれた、という因果関係が書かれているのがプロットです。

みんな大好き桃太郎を例に

例えば桃太郎なら、

  • 「おばあさんは川に行った。だから、流れてきた桃を拾った」
  • 「桃を拾ったから、桃太郎が生まれた」
  • 「鬼が暴れているという話を聞いた。だから、桃太郎は鬼退治に向かった」

といった感じでしょうか。Aした、だからBになった、というのが因果関係を表しています。

因果関係だけだと、ただの箇条書き。これを短編小説のように簡単にまとめていくとプロットになります。

桃太郎のプロットを考えてみれば、


川へ洗濯に行ったおばあさんは大きな桃を拾った。その桃からは子供が生まれ、桃太郎と名付けられて大きく育った。桃太郎は育ててくれた恩を返すため、村の住民を困らせる鬼を退治するため旅立った。鬼の元へ向かう途中、おばあさんからもらったきびだんごで仲魔を増やし、彼らと共に鬼を懲らしめた。


みたいな感じ。それぞれの事象が因果関係で結ばれています。これを削りに削ってこれ以上削れないよ!! という所まで攻めれば、


桃太郎は、育ててくれたおじいさん、おばあさんへの恩返しのために、村の住民を困らせる鬼を懲らしめた。


ぐらいまで削れます。プロットの大黒柱ですね。

「恩返しのために」を残したのは、何らかの動機がないと桃太郎がただ鬼をいじめる悪者になってしまうため。この物語のテーマは、家族愛。拾って育ててくれたおばあさんとおじいさんへの家族愛です。このテーマに沿って、恩返しという動機が生まれ、鬼を懲らしめに行くという行動に結びつきます。

大黒柱を中心に枠組みを作る

今回は既存の物語を分解していきましたが、私たちが小説を書くときには逆の順番になります。

テーマがあって、それを言うための大きな因果関係(大黒柱)があり、さらにその因果関係を細分化し、組み立てていったまとまりがプロットです。

プロットはテーマ、つまり私たちがこの小説で言いたいことを内包しています。この時点で破綻しているというのは、言いたいことを上手くまとめられていない状態なのです。

さて、肝心の組み立て方ですが、これだけで本が書けるほどの内容ですし、個人個人でやり方が異なる部分なので、これが正解!! と言いづらい部分でもあります。

ここで紹介するのは、あくまで私流のやり方なので、「ほう、Why-Because法ですか……大したものですね」とか適当に流してください。「プロット 作り方」で検索すれば多くの人がその人なりのやり方を紹介してくれているので、勉強になります。

Why-Because法

という訳で私が紹介したいのがWhy-Because法

Why-Because法は、大きな因果関係を作った後、実際にプロットの形に落とし込むときに使う方法です。

この大きな因果関係は、テーマを述べるために必要な結果なので、そうなった原因を考えていきます。

例えば、上で挙げた桃太郎で主軸となる大きな因果関係は次の通り。

桃太郎は、育ててくれたおじいさん、おばあさんへの恩返しのために、村の住民を困らせる鬼を懲らしめた。

このそれぞれの要素についてWhyBecauseを繰り返していきます。


なぜ桃太郎という名前になったの? →桃から生まれたから

なぜおじいさんとおばあさんは桃太郎を育てたの? →おばあさんが川で拾った桃から生まれたから

なぜおばあさんは川で桃を拾ったの? →川で洗濯をしていたから

なぜ鬼が来ると村の住民が困るの? →村の農作物を食べちゃうから

なぜ桃太郎は鬼を懲らしめようと思ったの? →鬼に荒らされている村はおじいさんとおばあさんが住んでいる村だから

なぜ桃太郎は鬼を懲らしめることができたの? →旅の途中で仲魔を加えたから

なぜ仲魔を加えることができたの? →きびだんごをあげたから

なぜ桃太郎はきびだんごを持っていたの? →旅立ちのときにおばあさんが持たせてくれたから


……といったように「なぜこうなったのか? それは〜〜だから」と問いかけていくと、自然と因果関係が連結していきます。

この因果関係を作中の時系列で整理していけば、どの順番で何を語るべきかが示された状態となります。あとは因果の分岐ごとに齟齬がないかの整合性を取れば、プロットとして完成します。

整合性を取るときの観点は、テーマに沿っているか、因果間で破綻・矛盾がないか、です。

あれ? これ、仕事してるときに見たような……

察しのいい方は気付いていると思いますが、Why-Because法はトヨタ生産方式のなぜなぜ分析をアレンジしたものです。

ポイントは、原因を何階層も辿っていくこと。いわゆるなぜなぜ分析のように5回にこだわる必要はありませんし、真因を見つける必要もありません。まぁ元ネタも5回は目安で、目的は根本原因を見つけることなんですけどね。

無理に全部の原因を取り入れる必要もないため、発想が広がる限り書き出してみるといいでしょう。整合性を取る時に取捨選択すればOKです。

原因を1段階辿ったときに、複数の原因があっても構いません。むしろ複数の因果が絡み合ったほうが物語としても厚みが出るので、齟齬がない範囲で複数の原因を考えてみるのをお勧めします。

上の桃太郎の例なら、仲魔になる犬、鳥、猿の因果を辿っていくのもいいでしょう。それぞれが抱える「家族愛」をテーマに因果を考えていけば、バックストーリーとして成り立ちますし。

まとめ

今回は初心者向けにプロットとは何か、作るメリット、そして作り方の一例をお伝えしました。

初心者向けとはいいつつも、社会人で趣味として小説を書きたいあなたに向けた説明なので、お仕事をしている時に聞くような言葉も使っていました。ご勘弁を。

これがあるだけで、小説執筆の作業効率がかなり良くなるので、まだプロットを作っての執筆を行ったことがなければぜひ。

いつもプロットを作っている人も、気分転換にWhy-Because法を使ってみてください(ごり押し)