やたらと他人にダメ出ししたがる人の心理的傾向を分析してみよう

やたらとダメ出しする人

あなたの周りにもいませんか?

「そんなんだからダメなんだよ」とか「ダメじゃん」とか。スポーツを見てて味方サイドの選手にも「はいダメ〜」とか言ったりする人。

ダメ」という言葉が嫌いになりそうなレベルで連呼するんですよね。

別に自分に向けられている訳でもないのに、この言葉が出るだけで嫌な気持ちになります。

他人を傷つけないと喋れない人の心理的傾向を分析してみよう
小説の登場人物を作り込むに当たって大変参考になるのが現実の人間関係。例えば喋るたびに人を傷つける人って、あなたの周りにもいませんか? 彼または彼女の内面まで想像して小説に昇華すれば、小説のネタになるだけでなく、相手への共感も生まれます。

上の記事では、他人を傷つけるという観点で心理的傾向を分析して見ましたが、今回はその中でも「ダメ出し」にフォーカスして掘り下げたいと思います。

そもそも「ダメ」ってどこからきたの?

考えてみれば「ヤダ!」と「ダメ!」は小学校に入る前の子供でも使っている気がします。ダメという言葉ってよく聞きますが、改めて「語源は何?」と聞かれると戸惑うところ。

もともとの語源は、囲碁において、双方の陣地の境にあって、石を置いても自分の陣地にならない目のこと。漢字で「駄目」と書きます。目は陣地の広さの単位だったり、石の数ね。

ここから、やるべきでないこと、やっても意味ないよ、といった意味合いが生まれました。囲碁は陣地を増やすゲームなのに、陣地が増えないところに石を置いてもしょうがないですもんね。

現代で使われる時の意味を確認するためデジタル大辞泉を引くと、よくないこと、無駄なこと、禁止、したいけどできない状態、悪い点の注意といった意味があります。

囲碁で使われていた意味がそのまま広がった感じですね。

こと「ダメ出し」に関して考えれば、無駄だと判断を下す悪い点の指摘、この2つの意味が大きいように感じます。

ダメって言うと気持ちいい

私はあまり人に対して「ダメ」と言わないし言いたくないと思っていますが、「ダメ」とよく言う人の気持ちになって考えてみたいと思います。

「ダメ」と言う時って、ビシッと言ってやった感がありませんか? こうした断定的な発言って、気持ちがいいんだと思います。

はっきりと物を言うということは、自身の発言に曖昧さを残さないこと。つまり揺らぎがない状態です。もっと言えば、「俺の発言は正しいぜ!」と正義であるかのように振る舞うことでもあります。

正義」って、とても気持ちが良いものですよね。自己肯定感に包まれていますから。

前述の「無駄だと判断を下す」行為に関して言えば、スポーツ観戦の時に選手に対して「駄目だって言ってるのに」と投げかけるのがイメージしやすいでしょうか。

1点を取ろうともがいている選手に向かって、「ダメ」という言葉を投げかけるのは、「その行動は無駄だと言っているのに、なんでそんな風に動くの? 俺には分かっているのに、なんでお前は分からないんだ。ほら、俺の方が正しい」と自分を正当化しています。彼らにとって大事なのは結果が出る前に「ダメ」と言うこと。選手がミスをすれば、「ほら俺の言った通り!」と自分を肯定できますからね。

「悪い点の指摘」だと、上司からのダメ出しが想像しやすいかな。「だからお前はダメなんだ」とか、「こういうところが全然ダメ」とか。

悪い点を指摘するのって、実は非常に優越感を得られる行為なんですよね。その指摘した点に限って言えば、相手よりも自分の方が優れていると感じられますから。

本来のダメ出しって、相手にもっと良くなってもらいたいから、ポイントを絞って指摘するのであって、優越感を得るためのものではありません。

やたらとダメ出しする人は、家庭環境など、指摘している行為に関係の無い点をあげつらって「だからダメ」みたいに言うんですよね。これは相手への愛がなく、優越感を得るためだけの行為です。

こんな登場人物に向いている

特徴をまとめると、

  • 自分の判断の正しさを主張したい
  • 相手の悪い点を指摘して優越感を得たい

あたりがエッセンスとして使えそうな部分ですかね。

そうすると、ある種口先だけで物事を進めたい、相手に勝ちたいような登場人物に向いていますね。

「ダメ」とビシッと言うだけで済むので、本人の努力はそこまで必要ないのです。なので、ある程度能力は高いけど、もうあまり成長しようと考えていない、現状維持で進めていきたいキャラになりそう。

自分の正しさを主張する方向なら、やたらと仕切りたがってリーダーになろうとするキャラがいいかな。主人公と敵対するサイドにいると話も進めやすいですし。そのキャラが「自分は正義でなければならない」と強迫観念を持っていれば、その想いはどこから植え付けられたんだろう、幼い頃の経験かな、と同情も生まれるかもしれません。

相手の悪い点を指摘するキャラなら、定年が近い上司とかどうでしょう。主人公が会社の改革に乗り出そうとすると、上司が悪い点だけを見て反対する、とか。それを補ってあまりあるメリットがあっても、最初は絶対に認めないようにすると良さそうですね。社内で仲間を増やして、ぐうの音も出ないほどの確かな証拠を提示し、上司自身の立場が危うくなるまでは反対し続けるのがいいと思います。

言い逃れできない証拠が出るまで相手を否定し続けるという意味では、推理小説の犯人もいいですね。特に絶海の孤島や雪山の山荘などを舞台にしたクローズドサークル系のミステリーでは、警察が辿り着くまでに時間がかかりますから、犯人としては場の流れを自分に有利に持っていきたいはずです。探偵役の発言を否定すれば、その場にいる人も「あれっ? 犯人の方が言ってることが正しいのかな」なんて思うことだってあるかもしれないし。

否定や悪い点の指摘は権威に繋がりますからね。この点はまた別途。

発言の根っこにある想いを汲み取ろう

ダメ」という言葉自体はあまり聞きたいものではありませんが、その人がどうしてこの言葉を使おうと思ったのか、根底にある想いを汲み取るのが大切だと思います。

難しいこと言ってる自覚はありますが、やはり発言には何らかの意図があるはずなんです。

やたらと「ダメ」と言う人なら、優越感を得たい、もっと言えば人から認められたいと思っているかもしれません。その人を認めてあげていれば、もしかしたら「ダメ」なんて言葉を使わないでくれるかもしれませんし。

例えば部下の案件の調整は上司として当たり前の仕事ですが、そうした当たり前のことでも感謝を伝えてみるとか。

感情は人間の相互作用によるものが大きいですから、まずは自分から相手の良いところを認めてあげるといいかもしれません。