なんだかアンガーマネジメントめいた話ではありますが、怒りを感じたときにそれを小説のネタにしちゃおう!! というお話です。
嫌なことがあったときって、多くの場合は他人との関係が原因。
そんなときについつい怒りを感じてしまって、後に引きずっちゃったり。
時間の無駄だから考えないようにしよう!!
なんて思っていても、ついついその嫌なことについてずっと考えてしまうことも。
ここまで考えてしまうんだったら、いっそ小説のネタとして昇華するのが良いかもしれません。
ネタを提供してくれてありがとう!!
私だけかもしれませんが、自分の中だけで嫌な登場人物を考えていると、なんだか嫌なやつになりきれていない登場人物が出てきてしまうんですよね。
もうちょっと嫌らしい性格の方が、読者としてもカタルシスが生まれるはず……。
そんな風に思ってもなかなか書けないんです。
でも世の中には、自分の苦手なことを得意とする人がいる訳で。
自分ではとても思いつかないような嫌な言い方をいとも簡単にひねり出す人だっているんです。
そうした人に出会ったときって、最初はイラっとして「このやろーいつか見てろよ!!」なんて思ってしまってしょうがないのですが、小説のネタに使えると分かるとなんだか感謝の気持ちが湧いてくるのです。
……罵られて感謝している訳じゃ無いですからね。念のため。
自分に無いものを提供してくれる、という意味では、彼らほど貴重な存在はありません。
嫌なことって大抵人との関係が原因
犬のうんこ踏んだ、とかだったら1日中凹むことも無いでしょうが、上司に怒られ、関係ないことまで引き合いに出されてボロクソに人格否定された、とかだったら後を引きます。
多くの場合、嫌なことって人との関係なんですよね。
電車に乗ったとき、磨いたばかりの靴の上にカバンを置かれてドヤ顔された、なんていう小さな話から、上司の機嫌が悪くて昼食後に顔にゲップを吐きかけられた、なんていう拳を握りたくなった話まで。
だいたい人が原因です。(どちらも私がやられた実話)
自分では想像がつかない行動をするから、「嫌なこと」だと感じるのかもしれません。
観察してみよう
「嫌なこと」だと感じるだけでは、なかなか状況は改善しません。
相手に「やめてください」とお願いしたところで、そのお願いは彼らにとって「嫌なこと」かもしれないし、下手すれば攻撃が激しくなる可能性もあります。
じゃあどうするか?
自分の受け取り方を変えるのが一番です。
よく言われるように、他人を変えるのは難しいが、自分を変えるのは簡単だ、というのはその通りだと思います。
どのように自分を変えるか?
変化の道は数あれど、ここで提唱したいのが「小説のネタにする」こと。
もっと言えば、小説のネタにしよう、という心構えを持つことです。
小説で嫌なやつをうまく描くには、目の前にいる嫌なやつを理解することが肝要。
冷静に観察し、どのような行動がこちらに嫌な思いをさせているのか、どのような言葉の組み合わせでイライラを引き立てるのか、見極めてみましょう。
嫌なことをされている当事者の感覚だけでいると、反応として怒りを感じてしまいますが、観測者としての自分がいると、怒りから一歩引いた視点で物事を眺めることができます。
するとあら不思議。
あれだけ書けなかった嫌な登場人物が、彼の力を借りてスルスルと書けるではありませんか。
彼はきっと、あなたにヒントを授けるために、敢えて嫌な言い方をしているのかもしれません。
うん。物事の捉え方は大事ですね。
実際に小説に反映された例も
例えば、電車内で感じる些細なイライラを観察し、小説の形にした作品が東野圭吾氏の『鬱憤電車』です。
収録は怪笑小説かな?
不勉強でこれ以外の例が思いつかないのが申し訳ないのですが、嫌なやつからネタをもらうことで、登場人物の描き方に幅が広がる可能性がありますし、突き詰めればこのように小説として発表することも可能に。
なんということでしょう。
だんだんと感謝が生まれる
サンキュー嫌なやつ!!
君のおかげでいい小説が書けそうだ!!
実際、感謝の気持ちが生まれ始めると、そこまでイライラしなくなるんですよね。
「次はどんなこと言うんだろう。わくわく」
なんて感じで余裕が生まれてきます。
敢えて嫌なことを言わせることはありませんが−−なぜなら私たちにはそんな「嫌なやつ」みたいなことはできないのだ!−−言われたときにネタが増えると嬉しくなります。
初めはただ嫌なことを言われているだけの状態から、気の持ちようによって自分の成果物をブラッシュアップすることができるなんて。
病は気から、全ては気の持ちよう。
昔の人はいいことを言ったもんですね。
小説は私たちを救う
嫌なことがあっても、小説のネタにしてしまう。
たったこれだけのことで心の平静を保つことができ、余裕を持つことができるのは素晴らしいですね。
まさに小説は私たちを救うのです。