タイピング速度を向上させる手段として、親指シフト入力を行う、というものがあります。
どうやらMacでもキーボードレイアウトの設定を替えてくれるソフトがあるようなので、それを使って親指シフト入力ができるようにしていきます。
これができれば、日本語入力が高速に……なると良いなぁ。
目次
親指シフトってなんぞ?
親指シフト。
その名の通り、親指でシフトキーを押すキーボードの打法。
手を捻るように両サイドのShiftキーを押すことで、美しくキーボードの入力ができるアクロバティックな入力方法。
ではなくて、日本語入力に特化したキーボード配列のこと。
詳しくはWikipedia等を参照していただけると良いのですが、簡単に紹介すると、日本語入力時のキーボード入力回数が減らせる、というもの。
例えば、「こんにちは。のべかくを見てくれてありがとう」と入力したい場合は、ローマ字入力だと「konnnitiha.nobekakuwomitekuretearigatou」と39回キーを叩く必要があります。
対して親指シフトだと、直でひらがなが打てるので、21回で済みます。
実際にはシフト同時押しとか、変換のためのキータッチがありますが、だいたい50%〜75%くらいの労力で文章が出来上がります。
うむ、素晴らしい。
実はこちらの記事で、タイピング速度上昇の手段として親指シフトを紹介したので、それを自分でもやってみよう!! というのが今回の記事のテーマです。
Macで親指シフト
私が使っているのはMacbook Pro。
文章だけを書くならオーバースペックですが、Xcodeで開発もしているのでご愛嬌。
JIS配列のキーボードなので、デフォルトでは親指シフト用のボタンはありませんし、親指シフト入力もできません。
ですので、キーボードレイアウトの設定を変更してくれるソフトウェアを導入します。
親指シフトの設定にあたって参考にしたのはこちらのブログ。
私の方は2017年10月時点の導入例としてご覧ください。
導入するソフトウェア
今回導入するのが、Karabiner-ElementsというソフトとLacailleというソフトの2つ。
親指シフトで使う左親指のシフトキーをスペースバーに、右親指のシフトキーを「かな」キーに割り当てたいのです。
親指シフトの配列(NICOLA配列)を実現するのはLacaille。
Karabiner-Elementsの役割は、右側にある「Command」キーを単独で押した際に、「かな」キーとして機能させることです。
本来の「かな」キーを別の用途で使ってしまうので、日本語入力と英数入力を切り替える際に混乱を減らす目的があります。
という訳で両方インストールすると幸せになれます。
インストールする
Lacailleの対応OSは以下の通りです。
- macOS Sierra (10.12)
- macOS High Sierra (10.13)
- OSX 10.8〜10.11
Karabiner-Elementsの対応OSは以下の通りです。
- macOS High Sierra (10.13)
- macOS Sierra (10.12)
- macOS El Capitan (10.11)
どちらも現時点(2017年10月)の対応OSです。
私の使っているマシンはSierra (10.12)なので対応している範囲内です。よかった。
インストール方法も単純で、インストーラをダウンロードして、ウィザードに沿ってインストールするだけ。
インストールが終わったらLaunchpadから「Karabiner-Elements」を起動します。
この時点でデフォルトのキーボード配列とは変わってしまうのでちょっとびっくり。
※追記
macOSをHigh Sierra (10.13)にアップグレードしましたが、Karabiner-ElementsとLacailleの両方とも使えています。
Karabiner-Elementsの設定
「Karabiner-Elements」を起動すると設定画面が表示されます。
「Simple Modifications」のタブで「Add item」を選択すると、キーボードの割り当てが可能になります。
ここでは、「From key」で「right_command」を選択し、「To key」で「かな」キーを選択します。
念のため「英数」キー→右の「Command」キーの順番で押すと、右上の入力キー種別が変化するのが分かります。
次に、「Virtual keyboard」タブを開き、バーチャルキーボードの設定を「JIS」に変更しておきます。
デフォルトだとUS配列の「ANSI」になっているので、カギカッコの位置が変わってビビりました。
これでKarabiner-ElementsはOK。
※追記
Karabiner-Elementsのversion 11.5.0から設定画面にあるキーボード選択画面が変わりました。
配列がわかりやすくなったので、選ぶときに迷わずに済みます。
Lacailleの設定
今度はLacailleの設定です。
インストール自体は簡単ですが、Sierraの場合、「開発元が未確認のため開けません。」という警告が出ます。
この場合は、Appleのヘルプに従って、Finderを開いて「アプリケーション」→Controlキーを押しながら「Lacaille」を右クリックし、「開く」を選択します。
トラックパッドなら2本指クリック。
次に、「アクセシビリティ」の許可を行います。自動的にアクセシビリティの設定画面が表示されるので、Lacailleに許可を与えます。
これでLacailleが使えるようになります。
親指シフト配列への変換は簡単で、設定画面の「NICOLAエミュレーション」にチェックを入れるだけ。
チェックを外せば元に戻ります。
文章入力中に「英数」キーを押せば半角英数入力になり、「かな」キーを押せば親指シフトでの入力に切り替えられます。
シフト入力の同時押しで「かな」キーを使うので、Karabiner-Elementsで設定した右commandを切り替えに使うと混乱が少ないかもしれません。
つらうらちへくしくはちさつ
おっと失礼、親指シフトになっていながら、ローマ字入力をしてしまいました。
正しくは「親指シフト」です。
ローマ字入力と大きく配置が変わっているので、まずはその位置を覚えることからですね。
キーの配置を覚えるトレーニングでは、「NICOLA派宣言」が良さそうです。
最初は集中して練習せよ、とあるので、連休あたりにぶっ続けで練習してみるのがいいかなぁ。
ちなみに、試しにこのパラグラフを親指シフトで入力してみましたが、かなり時間がかかっています。
なんだかローマ字入力を始めたばかりのころを思い出します。
しばらく練習した後の使用感はまた別途記事にします。
※追記
練習している様子は以下の記事にまとめています。最初の3日は辛いですが、そこを乗り切れば段々と快適になっていきました。
親指シフトのキーボード配列
親指シフトを初めた時に一番の壁になるのが、キーボード配列が分からないこと。なので私の場合はキーボード配列を絵にしてから、印刷して壁に貼っていました。
手元のキーボードを見ながら作ったのがこちら。単色打鍵などの呼び方は上で紹介したNICOLA派宣言のサイトに準拠しています。
単色打鍵
右手、または左手で単独のキーを押します。
配列を見ると、濁点のベースとなる文字が並んでいるのが分かります。
「ん」の右にバックスペースがあるので、焦っているとどんどん文字を消してしまうことも。
クリックすると大きな画像が開きます。
単色同時打鍵
右手、または左手で同じ側の親指シフトキーと同時に押します。
濁点や半濁点の付かない文字が並びます。また、「ゃゅょ」などの拗音や、小さい「ぁぃぅぇぉ」が含まれるのが特徴です。
クリックすると大きな画像が開きます。
二色打鍵
右手、または左手で逆側の親指シフトキーと同時に押します。この押し方は両手を使います。
二色打鍵では濁点や半濁点が中心です。特に半濁点は右手側にあるので、覚えやすいかもしれません。
なお、最上段の記号は単色同時打鍵と同じものが入力されます。
クリックすると大きな画像が開きます。
まとめ
Macにおける親指シフトの導入方法とキーボード配列をご紹介しました。
小説を書くなら、親指シフトに慣れておくと文章入力の負担が減って、さらに執筆スピードも上がるのでメリットがたくさんあります。もちろん、小説に限らず長文の日本語を入力する場合も同様です。
個人的な感覚ですが、ローマ字入力では「ダダダダダダダダ」と怒涛の勢いで入力していましたが、親指シフト入力では「トントントントン」とリズムに乗って入力できています。キーボードにも優しいですね。
最初のトレーニングだけは、やはり根気が必要かもしれませんが、その先には快適な文章入力が待っています。